「そういえば先生〜。音楽って何歳から始めるのが一番良いの?」
これは長年音楽スクールを運営してきてたびたび聞かれる質問です。
「ヴァイオリンは大人からスタートするのは無理だって聞きました」
「早ければ早いほど良いんですよね?」
おそらくは、諸先生方のいろんなお考えがあるとは思いますが、私は。
正直なところ大人から始める音楽ってすごい素敵だと思っています。
人生を駆け抜けてこられてハッと気づけばもう定年間近。
好きなことなんて何一つないけれど、どうしようか。
カラオケには少しばかり行くから、音楽してみようか。
そうやって私の教室の門を叩いてくださった方はたくさんおられます。
例えばヴァイオリンだったら葉加瀬太郎さんのエトピリカが弾きたい。
ピアノだったらベートーヴェンの月光三楽章なんてどうだろう。
歌だったら、米津玄師のLemonかな。
どんな夢だって一緒に叶える努力をします。
その時間が私は、大好きです。
だけど、「何歳から始めるのが良いの?」という質問に対しては
【音楽を聴かせるのは0才0ヶ月、音楽に実際に触れてみるのは3ヶ月、音楽を表現するのは1才、音楽を演奏するのは(楽器によるけど)早くても3才】
というのが持論です。
子どもは大人の何倍も吸収力があります。
特に私が考える幼児教育の考えはやはり、3才までにどんなものに触れたか。
ここが大切なのではないかと考えます。
生まれ持ったもの(才能といわれるもの)ではなく、どんな環境でどんなものに触れたのか。
音楽においても、小さい頃から楽器がそこにあって誰かが何かを演っていて、音が鳴っている環境が当たり前にあれば、音楽に対して素直に受け入れられるシナプスが形成します。
音楽が普段身近になく、音が鳴らない環境であれば、音が鳴った瞬間驚いて危険察知能力のスイッチが稼働します。
小さい頃から養育において、当たり前の環境を自然に作り出すことが大切なのではないでしょうか。
子どもには音楽が好きでいてもらいたい。
ダンスが好きでいてもらいたい。
だけど、今はなかなか習い事一つ思うように通えない時代。
子どものことも気づけば後回しにしてしまっているような…
だけど、忘れないでください。
お子さんの今も「今」だけです…。
とある先生はこのように仰っています。
「脳の約9割は「6歳まで」に作られる
「幼児期の教育が重要だ」といわれるのには、理由があります。幼児期には、大人になってからとは比べ物にならないほどに、脳の配線が爆発的に成長するのです。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳の重さは、平均して約320グラムですが、6歳になる頃には約1,300グラムにまで爆発的に大きくなります。
この爆発的な成長は、脳細胞が増えているわけではありません。脳細胞を結んでいる結合部分のシナプスや、その間の配線が伸びることによって、重さが増しているのです。
大人の脳の重さは、平均して約1,450グラムです。大人になってからは、脳の重さはほとんど変わりません。このことから、脳の約9割は6歳までに作られているということがわかります。
幼児期の脳は、たった1ヵ月で大人の10年分の発達を遂げるといわれているのです。」(引用:脳の重さから見る「6歳までの環境」が、「超重要」である理由https://gentosha-go.com/)
子どもの脳は1ヶ月で大人の10年分の発達を遂げる…
これは、子どもたちと一緒に音楽をしていてもものすごく痛感します。
大人はこちらが何を言いたいのか、理解は早いのです。だけどそれをいざアウトプットするのには時間がかかる。
子どもは何を言わんとしているのか分からなくとも、感覚や直感でアウトプットする。
それが物凄い速さなのです。
吸収力の違いを見せつけられる瞬間はこれまでも数え切れないほどありました。
時頭の良さ、センスがある、生まれ持った才能…いろんな言葉が飛び交いますが、子どもは皆、やっぱり天才なんだと思うんです。
シナプスの広がりの一つの区切りは小学生でしょう。
中学生からは吹奏楽など新たな分野が混ざってきて、興味のある子は誰が誘導しなくともそこに吸い込まれていきます。思うのは、そこになんらかの回路が既に出来ているように見えます。
脳のシナプスを広げるお手伝い、というのはおとわの理念でもありますがそこには、普段触れることのないものにたくさん触れて「なんだこれ!」をたくさん感じてもらいたいのです。
私は幼少期からクラシックばかり聴いてきました。
それが故に今でも聴くのはjazzかclassicかbossaなのですが、おとわでは私を形成した父親直伝の(笑)、脳に語りかけるクラシックを環境音として流します。
環境音ですから邪魔をしないように優しく空気のように流れています。
だけど、そのうちその音に気づいた子どもたちが「なんこれ」と聴いてくる日が楽しみなのです。
それは紛れもなく私が目指している、シナプス形成の大きな一歩です。
その時はきっと、周りのスタッフが引くほど活き活きと、偉大なるComposerについて小一時間語らせていただきたいと思います。(絶対やめて)